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大宴会の文化「おきゃく」で人と人とがつながる ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(3)

2015年06月01日



大宴会の文化「おきゃく」で人と人とがつながる ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(3) | あしたのコミュニティーラボ
オーガニックに特化した土曜市、伝統ある日曜市と、前2回では地域の魅力を賑わいと経済効果創出に活かす取り組みを追った。最終回では、年々盛り上がりを見せる土佐の「おきゃく」と、県が推進する「高知家」プロモーションから、高知県の「人」の魅力を打ち出したユニークな施策の裏側を探る。

移住者たちが築く新たな「市」の文化 ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(1)
“地域密着”で脚光を浴びる日曜市 ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(2)

土佐のおきゃくに「べろべろの神様」降臨

日曜市の屋台がそろそろ店じまいにかかる夕刻。追手筋と並行する帯屋町商店街のアーケードでは、路上に並べられた宴席で乾杯の声が上がりはじめた。この日(3月15日)は、高知市中心街で9日間にわたって開催されている「土佐のおきゃく2015」の最終日。「おきゃく」とは、高知で「宴会」をさす。

アーケードの路上と中央公園が巨大な宴会場と化す、その名も「日本一の大おきゃく」だ。
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おきゃくでは観光客も地元客も入り混じって盃を酌み交わす

よさこい祭りで賑わう夏場に比べて春先の高知は寂しいと、地元の有志が立ち上げた「土佐のおきゃく」は、今年で10年目を迎える。期間中は、まちのいたるところでさまざまなイベントが行われ、集客人数は6万1,000人、経済効果は約7億円(2014年)と算定される一大フェスに成長した。

中央公園に鎮座しているのは、10周年記念のシンボルキャラクター、「べろべろの神様」。ピンク色に酔っぱらって目玉をぐるぐる回すユニークなキャラクターは、高知出身のフィギュアイラストレーター デハラユキノリさんがデザインした。
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シンボルキャラクター「べろべろの神様」

土佐のおきゃく実行委員長の横山公大さん(ホテル土佐御苑専務取締役)によれば、デハラさんは「どうやろか?」との依頼に「待ってました!」と2つ返事で引き受けてくれたという。
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土佐のおきゃく実行委員長 横山公大さん

「いくらなんでも、こんなふざけたので大丈夫? と思いましたが、知事と協賛企業が揃う土佐のおきゃく推進会議でプレゼンしたところ、満場一致で決定しました」と笑う。さらに横山さんはこうも話す。「高知のおきゃく文化を大人たちが本気で楽しんでいるのを見てもらい、参加する若い人たちにバトンを渡して行きたい」。

最終日となる3月15日の午前中、中央公園ステージでは高知県のご当地アイドル「はちきんガールズ」のライブがあった。MCで彼女たちは「Twitterでつぶやくときは〈#おきゃく〉のハッシュタグを付けて!」とアピール。
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高知県のご当地アイドル「はちきんガールズ」

専用ハッシュタグを用いるというこのアイデアは、パートナーズ協定(*)を結んでいる高知県と富士通による「高知家学講座」のワークショップ(2015年1月)で発案されたものだ。「土佐のおきゃく」を世界に発信することを目的としたもので、このアイデアを考えたチームに「はちきんガールズ」が参加していたのだ。

温かく、おおらかに受け容れてくれる大家族

「高知県は、ひとつの大家族やき。」

高知は食も自然もすばらしいが、それだけではない。あたたかく思いやりがあり、おおらかで豪快、初対面の人でもまるで家族のように接する温かい高知県民の「人」こそが1番の魅力。そこにはまるで1つの大家族のようなつながりがある。「高知家」プロモーションは、そんな「人」に着目した活性化プロジェクトだ。

高知県は、全国に10年以上も先駆けて人口減少・高齢化社会に突入した。そんな「課題先進県」であることを真正面から受け止め、「地産外商」「観光振興」「移住促進」を柱として反転攻勢に出ている。高知県産業振興推進部の高知家プロモーション推進室室長の淺野尊子さんは次のように話す。

「高知県産業振興計画を策定し、マイナスのカードを逆手に取ろうと取組を進めています。たとえば、1次産業を見ると、高知県は平野面積の割合が全国最低ですが、裏を返せば森林面積の割合が全国トップと言えます。また、日照時間と豊富な雨量に恵まれた温暖な気候に育まれ、全国最低の耕地面積にも関わらず、農産物の収量(10アールあたり)は全国トップ。このことは、いかに高知の技術が優れているかを表しています。弱みを強みとして農林水産業の更なる振興を図るため、さまざまなバージョンアップの施策を進めていますし、中山間地域の活性化にも取り組んでいます。また、台風常襲県でもあり、南海トラフ地震でも甚大な被害が想定されますが、だからこそ住民の防災への関心は高く、それを基盤に地域の支え合いネットワークの強化や、食糧備蓄の商品開発など防災関連産業を振興しています」
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高知県産業振興推進部の高知家プロモーション推進室室長 淺野尊子さん(2015年3月当時)

ただ、1次産業の振興にしても、中山間地域の活性化にしても、担い手がいなくなると地域も産業も衰退してしまう。最後は、やはり「人」が重要となる。その「人」の魅力をコンセプトにした「高知家」プロモーションは着実に成果を上げはじめている。

たとえば、移住者数で見ると2012年から2013年にかけての移住者数は270組(468人)で、前年度比208%、26年度の実績でも403組(652人)とそこから更に149%と増えている。東京や大阪での移住相談会、移住コンシェルジュの配置などの地道な施策に加え、『県庁おもてなし課』『遅咲きのヒマワリ』など、高知を舞台にした映画やドラマも、高知家の家族を増やすことに一役買っているという。
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飲食店や物販店がひしめく「ひろめ市場」は毎日多くの人で賑わう(提供:高知県)

この4月には事業化への支援、県内外の英知の交流機会、産業振興につながる人材育成の拠点として「高知県産官民連携センター」が開設される。移り住んできた人が地域の担い手として活躍し、地産外商と観光が活気づく。高知家が人の交差点となっていくことで、さらに新しい家族を呼び込む、といった好循環が生まれていけば、その広まりははかり知れない。

高知のひろめ市場や日曜市はさしずめ「高知家」大家族みんなの食卓だ。全国トップクラスの日照量と温暖多湿な気候を背景に、山や海の幸がたくさんある。

「果物や野菜も色が濃く、季節ごとに色々なものができるから、訪れた人に美味しいものをたくさん食べてもらいたい、という高知県民のラテン系気質が市場を盛んにしているんでしょうね」

さらに淺野さんは「高知って後ろが四国山地、前はどかーんと太平洋ですから。ちまちま考えたってしょうがない。高知県民は、小さいことにくよくよしないんですよ」と豪快に笑った。

多くの課題を抱えながらも、持ち前の豪快かつおおらかな気質を活かした施策を展開する高知県。市場やおきゃくを通じ、そこに住む人々の魅力に触れることで「高知家」の家族はこれからも増えていくに違いない。

移住者たちが築く新たな「市」の文化 ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(1)
“地域密着”で脚光を浴びる日曜市 ──「人」の魅力を軸とした高知県の地域おこし(2)

関連リンク

※富士通は高知県の取組みを応援する企業の1社としてパートナーズ協定を結び、地域と都市をつなぐ活動を行っています。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/07/22-1.html

土佐の「おきゃく」2015
高知家


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