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氷見からはじめる “ソーシャルデザイン”入門 ──氷見市×issue+design×富士通デザイン(前編)

2015年07月13日



氷見からはじめる “ソーシャルデザイン”入門 ──氷見市×issue+design×富士通デザイン(前編) | あしたのコミュニティーラボ
地域のブランド価値をさらに高めるには? 先進自治体が持つ課題を、地域と都心のビジネスマンが考えるイベントが、6月9日富士通デザイン主催のもと東京・六本木の「HAB-YU platform」で開催されました。今回のゲストは2名。元ファシリテーターの経歴を生かし、「魚食文化をリードするまち」富山県氷見市長として新しい試みに挑戦している本川祐治郎さん。2人目のゲストは氷見市をはじめ、地域市民を巻き込みながら新しい価値や機会を創出する「ソーシャルデザイン」で地域ブランディングに取り組むissue+design代表の筧裕介さん。多様な人々と新たな関係性をつくり出す“ソーシャルデザイン”の考えをベースに、氷見市の課題と新たな取り組み、求める協力者など現在の動きを聞き、会場全員でアイデアを紡ぎ出した様子を前後編でお届けします。(TOP画像提供:氷見市役所)

ソーシャルデザインのポイントは“Friendly&Fun” ──氷見市×issue+design×富士通デザイン(後編)

先進自治体が抱える課題とは?

今回のワークショップは富士通デザイン株式会社とissue+designが共同研究を行う「ソーシャルデザイン流地域ブランディング」プロジェクトの一環。その方法論の一端を参加者と共有し、氷見市の魅力を増幅、発信するためのアイデアを考える試みです。
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(写真左から)氷見市長の本川祐治郎さんとissue+designの筧裕介さん

イベントに先立ち、氷見市長の本川祐治郎さんとissue+designの筧裕介さんに、氷見市の地域ブランディングが抱える課題や、地域ブランディングの現況を伺いました。

今回のイベントプログラムは、氷見市とissue+designが行ってきた「地域みらい大学」でのプロジェクトが発端。「地域みらい大学」は、地域住民とともに地域の課題解決を目指すプロジェクトでissue+designが主催し、2013年10月に5自治体限定で参加を呼びかけました。そこへ応募したのが氷見市の本川市長です。

本川さんはその応募動機を「観光は氷見市の重要産業の1つ。『寒ブリ』は一定の認知度を得たものの、それをきっかけに氷見市自体はもちろん、観光産業、観光資源の将来像をどう描くか、あらためて検討するタイミングだった」と言います。
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issue+designの筧裕介さん

「1年かけ、行政職員や事業所の方々とワークショップを積み重ねました。地域に対してどんな思いを持っているのか。どんなお客さまにどんなコンテンツをどんなメッセージで伝えたいのか。氷見をはじめとした比較的小規模な市町村がブランドをPRするには、マス・マーケティングよりも地域住民、事業者、行政職員、観光客、移住者それぞれとの関係性を設計・構築する“ソーシャルデザイン”がふさわしいと考え、その方法をみなさんと一緒に考えるプロセスを踏んでいます」(筧さん)

そのなかで、本川さんが取り組む課題は氷見市21地域の課題を自律的に解決するしくみをつくるために、50名のファシリテーターを育成するというもの。しかし、その先でビジョンをまとめ上げ、実際の活動を促す“プロデューサー”を担う人材が足りないと話し、未来のプロデューサー候補やパートナーが見つかるかもしれないと、今回のイベントに期待をかけていると話します。
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氷見市長の本川祐治郎さん

「ファシリテーターは現場を盛り上げるディレクターですが、“予算を統括しながらマーケティングとプロモーションを展開し、ブランドをつくりあげる”のはプロデューサーの役割だと考えています。今はそのやり方を地域みらい大学で学んでいるところです。今回のようなビジネスパーソンが多いワークショップを通じて、プロデューサー的な観点から共創してWin-Win-Winの関係を築けるようなきっかけが生まれたらと期待しています」(本川さん)

日本初のフューチャーセンター庁舎が創発の拠点

富山県氷見市は、市民と行政がともに課題解決を目指し新たな政策をつくりだす、日本初の「フューチャーセンター庁舎」を拠点として積極的に活用。統合によって廃校となった高校の体育館をリノベーションした庁舎で、NPOや企業、大学とさまざまな「掛け算」を行い、創造的な課題解決に取り組んでいます。

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また、「魚にまつわるエトセトラ──魚食文化をリードするまち、氷見。」というタグラインを掲げ、地域ブランドづくりに取り組んでいます。その拠点が、漁港内の「道の駅」をリノベーションし、2015年4月にオープンした「ひみ漁業交流館 魚々座(ととざ)」です。魚々座は定置網漁などに代表される“漁村文化を発信する人と受け取る人のつながり”を重視した、「基地」。さらに、漁業者や寿司・鮮魚店など魚にまつわる仕事に従事している地域住民が自主的に交流し、後継者問題など地域の課題解決を図るためのフューチャーセンターとしても活用されています。
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市民参加のアート活動で作られた漁網が来場者を誘う魚々座(提供:氷見市役所)

魚々座が人のつながりをつくった具体的な取り組みとして、本川さんが「魚の皮」を再利用したプロジェクトを紹介しました。ハンドメイド靴の女性職人が「魚の皮を活用したサンダル」を考案したときのことです。ユニークな製品で、製品としての強度も十分ありましたが、皮が持つ魚の匂いに悩んでいました。それに対し、魚々座に出入りしていた漆職人や漁師から「漆や柿渋はどうか」と自らの仕事で利用している道具を活用した解決策を提案され、現在はアドバイスをもとに製品化を目指しているそうです。さらに、別プロジェクトとして進行していた氷見市と理工系学生との共創プロジェクトも加わり、多彩な市民によるうねりが生まれています。

本川市長は「地域資源をかたちにする意識形成が進むなか、足りないのはマーケティングの専門家による掛け算のアイデア」と切実な課題を投げかけます。現在、氷見では市長自らプロデューサー役を買って出て、氷見の魅力を対外的に発信するほか、外部からプロデューサーを登用するなどして、地域のよいものを、より多くの人に受け入れてもらえる状態にしていく試みを行っています。

市長自らのプロデュースにより、徐々に地域以外の人々の注目も集め出している氷見市の取り組み。しかし、一般にも受け入れられるストーリーとしてつくりあげるためには、地域以外の協力も必要不可欠です。後編では、本川市長が昨年から取り組んでいる「地域みらい大学」で学ぶ“ソーシャルデザイン”を通して、都心のビジネスマンである参加者たちとどのようなアイデアをつくり出していったか、その様子をお伝えします。

ソーシャルデザインのポイントは“Friendly&Fun” ──氷見市×issue+design×富士通デザイン(後編)へ続く


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