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常連化6割のコミュニティーの秘訣は“ゆるさ”と“アツさ”!?  ──放課後ものづくりサークル「品モノラボ」(2)

2015年11月06日



常連化6割のコミュニティーの秘訣は“ゆるさ”と“アツさ”!?  ──放課後ものづくりサークル「品モノラボ」(2) | あしたのコミュニティーラボ
品川をキーワードにものづくり好きが集う「品モノラボ」。隔月開催のmeetupの様子に迫った前回に続き、第2回は発起人である田中章愛さん、運営メンバーの古賀由希子さんに“ゆるくてアツいコミュニティー”のつくり方について伺った。

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音楽バンドならぬ、ものづくりバンドを結成したい

品モノラボを立ち上げた田中章愛(あきちか)さんは、2011年くらいから趣味でデザインの展示会などに、デザイナーの友人とともに自身で制作した照明器具や手作りガジェット、アート作品などを出品するようになった。すると、勤務先の電機メーカーの同僚も出展していたりする。そこから会社の仕事とは別に、腕だめしの場として展示会やコンテストにチャレンジしている人たちと個人的なつながりができた。

「まずは互いの活動をシェアしたり、今後のものづくりはどうあるべきか、のような熱い激論をかわす仲間内の勉強会を立ち上げるところからはじまり、2012年には勤務先のショールームをご厚意で利用させていただいて“放課後イノベーション展”を開催しました」(田中さん)

品モノラボの発案者である田中章愛さん。 普段はエンジニアとして働いている
品モノラボの発案者である田中章愛さん。
普段はエンジニアとして働いている

30点ほどの作品が展示された同展示会は社外にも口コミで伝わり、一般参加者も含めて300人ほどが集まる予想を超える盛況となった。1回で終わる展示会ではもったいない。

品川という地域を核にして、ものづくりのノウハウを共有するコミュニティーを立ち上げ、放課後サークルふうの活動をしてはどうか──仲間内のそんな雑談からはじまった話が発展して、「品モノラボ」につながっていった。

「音楽バンドみたいなノリで仲間を集め、ものづくりしたいというコンセプトがありました」と田中さんは振り返る。

「小さな勉強会時代に参加していた仲間が、のちに電動車椅子のベンチャー、WHILLを創業したことなどを目の当たりにして、こうした放課後サークル活動がいつかは世の中を変える動きになるかもしれない、と刺激を受けたことも品モノラボ立ち上げのきっかけです」

参加メンバーは毎回60名ほど。スタート時から人数の増減はさほどなく、6〜7割が常連となっている。

半数を占めるエンジニアのほか、学生や大学教授、ベンチャー企業や町工場の経営者、営業やマーケティング担当者、新聞記者など参加者の職種は多彩だ
半数を占めるエンジニアのほか、学生や大学教授、ベンチャー企業や町工場の経営者、営業やマーケティング担当者、新聞記者など参加者の職種は多彩だ

特に会員制を敷かず、出入り自由のコミュニティー。年齢は30代を中心に幅広く、会社を退職した50代以上のメンバーも参加している。男女比率は7対3で、ものづくりサークルにしては比較的女性が多いほうだという。電子工作に限らず手芸でも粘土でも、ものづくりなら何でもOKというゆるやかさが女性をも呼び込んでいるようだ。

品川という地の利も人を集めている要因のようだ。品川駅は近隣にものづくり企業が多く、新幹線と羽田空港(京浜急行線)の乗り換えもできるハブとなる駅。出張帰りにもふらっと立ち寄れる。
 

やりたい人がやる“ゆるっとした”運営スタイル

運営には22人の中核メンバーが携わる。本業は田中さんと同じ電機メーカー勤務で、初回から運営スタッフに加わる古賀由希子さんは「ゆるっとしていて、“やりたい人が運営をやる”みたいな感じ」と話す。

「逆にいうと、やらないからといって怒る人もいない。これって重要かなと思っています。ものづくりが好きな人しか集まっていませんから、みんなで楽しくものづくりする場を設けることにかけては積極的。たとえば受付が足りなかったら一緒にやってくれたり、椅子を並べるのもみんなで。いつの間にかそういう人しか参加しなくなっていますね」(古賀さん)

運営メンバーの1人である古賀由希子さん。 コミュニティがゆるやかに盛り上がるしくみを考えている、品モノラボにおける“女子マネ”的存在だ
運営メンバーの1人である古賀由希子さん。
コミュニティがゆるやかに盛り上がるしくみを考えている、品モノラボにおける“女子マネ”的存在だ

田中さんも、運営のポリシーについて「特定の人に負担がかかって無理になったらやらない。NPOでも会社でもないし、サークル活動のノリなので、みんながやりたくなくなったら解散してもいいし自然消滅してもいいんです。眉間に皺を寄せて無理してしんどいだけ、みたいなことはしたくありません」と語る。

イベントも、最悪、直前1時間くらい準備すれば成り立つくらいのアドリブの効くスタイルで執り行う。がちがちに隅から隅まで仕切られ、プロデュースされたイベントとはひと味違う“ゆるさ”が参加者には心地良い。

退社後の放課後活動なので“乾杯”からはじまる。適度にほろ酔い気分で“飲み会半分、勉強会半分”のところがまた楽しい。参加者は自分たちの飲食代や、展示会用の飾り付けなど、実費だけ負担。月会費などはない。

品モノラボ 恒例の乾杯からのスタート
品モノラボ恒例の乾杯からのスタート

会場も最近では “部室”のようになったCreative Loungeをはじめ、無料で利用できるところや、小規模の集まりではカフェなどを使うこともある。

大きな展示会に出品する3カ月ほど前にはアイデアソンを実施したが、それも「文化祭に向け“この指止まれ”でバンドを組もうぜ、みたいなノリ。文化祭が終わったら解散しても、そのままインディーズで活動を続けるのも、メジャーに打って出るのもよし」(田中さん)と参加者の意思に任せている。

“ものづくり”“品川”というシンプルなキーワードのみを掲げて開催されている品モノラボ。取りまとめる役は存在しつつも、運営スタッフや当日の進行もおおまかにしか決めない。それでも参加者の6割ほどが常連化してしまうのは、純粋にものづくりが好きな人だけが集まることで、“ゆるさ”を保ちつつ、自然と全員の居心地が良い空間づくりをしようという気持ちが働くからではないだろうか。

最終回ではものづくりコミュニティーとして掲げる今年のテーマと、品モノラボのような“放課後活動”が“本業”にどのように関わっているのかについて、引き続き田中さんと古賀さんに伺っていく。

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