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たった1人の想いから生まれた、社内2,000人のネットワーク ──パナソニック有志の会“One Panasonic”(前編)

参加者数にノルマはない、盛り上がれば、それでいい!

2012年3月の結成から約3年半。一定の成功を収めたように思えるが、濱松誠さんは「400〜500人の仲間がいるところからはじめられたのが非常に大きかった」と振り返る。

「こうした有志活動を、社内外でもたくさん見てきました。しかし誰もが途中で諦めてしまう。例えば、会社で先輩から『お前ももう若くないんだから……』と諭され、止めてしまうんです。先輩方も悪気があって言ってるわけではないのですが、私にもそんな経験がありました。正直、楽しいことばかりではありませんが、そうした状況でも諦めずにやってこられたのは、あのころにできた仲間がいたから。同時に、私という“1”の思いを400、500にするプロセスの大変さを経験しているからこそ、今は参加者数にノルマを敷いていない。参加者が5,000人、1万人になればもちろんうれしいけれど、ぶっちゃけ、盛り上がればそれでいいんです」

濱松さんが内定者懇親会でできたネットワークとともに、「この活動に欠かせなかった」と話すのが、One Panasonicの幹事メンバーたち、特に幹事である則武里恵さんの存在だ。

2012年からこの活動に参加している則武さんの現在の“本業”は広報。2012年に濱松さんが大坪文雄社長(当時)を第1回の交流会に呼び寄せたときにも、本社の広報部門で大坪社長と近いところで仕事をしていた則武さんのサポートがあった。

人事×広報の最強タッグでネットワークを築ける

則武さんは、One Panasonicに参加した動機を、次のように話す。
One Panasonic Communication Designer 則武里恵さんOne Panasonic Communication Designer 則武里恵さん
「広報部門の一員として、経営陣と接する機会が多かったのですが、そのメッセージを社内に伝えていくのは非常に難しいと感じていました。トップと社員をつなぐには、One Panasonicでやっていたダイレクトコミュニケーションに勝るコミュニケーションはない。そういうことができる場があるのであれば、もっと広めて多くの人に共感・参加してほしい。そう思って正式に幹事として参画することになったんです」

One Panasonic成功の秘訣がここにもある。濱松さんは人事部門の人間として、社内の人材を広く見渡すことができる。加えて、則武さんが広報部門の人間として、人脈と情報発信力を持つ。だからこそ、社内外とのネットワークがさらに築ける。人事×広報の最強タッグが、One Panasonicの活動を牽引したのだ。

「さまざまな交流を通して、パナソニック社員の知見・志・モチベーションを高めるとともに、新しい会社のあり方を考え、その実現を目指す有志の活動です」

2人の名刺の裏にそう“宣言”されているように、One Panasonicが見据えるのは、ずっと先の未来だ。今後は裾野を拡げながらも、参加者同士で何を生み出そうとするのか、がキーとなる。

そのためにも、裾野を拡げる全体交流会とは別に、それぞれの思いを深掘りするための「テーマ別交流会」も催している。ロボット部、プログラミング部といった部活のほか、女子会、他社交流など、テーマはさまざまだ。2013年10月にはハッカソン「One Panasonic Hackathon」も開催した。

企業に興った「有志の会」から、イノベーションは生まれるのか?

果たして、One Panasonicの活動は、将来的なイノベーションにつながるのか。そんな問いを濱松さんに投げかけると、こんな答えを返してくれた。

「1人のイノベーターがいる。それを支援する人がいる。そこまで揃えば、あとはその人が社内で起業するか、事業部内で事業化するか、社外で起業するか、出口は3つくらいあるでしょう。その1人をOne Panasonicから輩出し、One Panasonicのメンバーだけでイノベーションを起こせればおもしろいのでしょうが、世の中そう甘くないと思っています」
One Panasonic founder 濱松誠さんOne Panasonic founder 濱松誠さん
One Panasonicの存在意義をそう冷静に見つめたうえで、濱松さんは「だけど……」と続ける。

「だけど、ここで『ゼロから1』を生む事例を100個つくることができれば、後々、パナソニックの事業と連携することで、その後の『1から10』『10から100』のプロセスにつなげていけるかもしれない。放課後活動といえども、会社の向かう未来と別の動きをしているわけではなく、会社との連携は非常に大事だと思っています。実際にいくつか連携していて、動いているものもあります。やっぱり、大企業の最大の強みは有形無形の資産を豊富に持っていること。これを活かさない手はありません」

そのためにも濱松さんらは、日頃から経営陣、ミドルマネジメント層、若手との交流を欠かさない。

濱松さんの発言を受けて、則武さんは次のように話す。

「私たちがつくっているのは、「夢」を語ることのできる土壌。ここに来れば、そんな夢を自由に口に出すことができるし、隣の人が『その夢いいね』と言ってくれる。その後をどうするかは、それぞれで考えればいい。そういうムードのあるコミュニティーをつくることが、まずは私たちの使命です」

若手有志の企業間ネットワークで、日本を変える!

将来的なイノベーションに向けて、他の大企業の有志同士をつなぐ他社交流も開いている。パナソニックだけでなく、一般に“大企業”と呼ばれている他の企業でも濱松さんたちと同じような問題意識を抱えている人は多い。それを発端に、社内活性化を目的としたグループが生まれ、日本各地に点在している。

「大企業に起こりがちな問題を“大企業あるある”で終わらせず、みんなで解決する。そのためにも、各企業のグループ同士、横串しでつながりたい。こういったコミュニティーはありそうでなかった」と濱松さん。大企業の“若手世代”でネットワークをつくる“One Japan”構想を持っており、すでに交流をはじめている。もちろん、大企業で閉じるのではなく、ベンチャー、NPO、教育機関といつでもコラボレーションできるような素地をつくることが目標だ。

「最終的に会社にコミットしてもらうにしても、キーマンを説得できる人脈が必要。そのためにも、社内だけでなく、社外にも情熱を持った仲間とのネットワークを築いておきたい」──

1918(大正7)年に松下幸之助が創業した老舗企業・パナソニックが目指すのは“A Better Life, A Better World”(より良い生活、より良い世界)。濱松さん、則武さんらが目指すゴールも一緒だ。

One Panasonicが触媒となって社内に生み出される個人の気づきや出会い、また、社内外で触発された関係性から、5年先、10年先の日本にどんな価値が生み出されるのか。企業内に築かれた若手ネットワークが“1つ”になっていくことの成果は、きっとそのときに見えてくるだろう。

たった1人の想いから生まれた、社内2,000人のネットワーク ──パナソニック有志の会“One Panasonic”(前編)

関連リンク
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