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“日本一、企業と組みやすい自治体”ってどんなまち?──あしたラボ×HAB-YU 首長イベントレポート日南市編

2015年11月20日



“日本一、企業と組みやすい自治体”ってどんなまち?──あしたラボ×HAB-YU 首長イベントレポート日南市編 | あしたのコミュニティーラボ
これからのまちづくりに挑戦する若き首長と参加者が、一緒に新しい創発の可能性を探る──。「日本一、企業と組みやすい自治体」を目指す宮崎県日南市長、﨑田恭平さんを東京都・六本木のHAB-YU platformにお招きし、参加者と共に地域の未来を切り拓くアイデアを考えたワークショップの様子をレポートします。

地域資源と企業のリソースを活用し、事業を共創




﨑田市長が最初に紹介したのは、日南市のプロモーションビデオ。

ありがちな観光案内ではなく、ごく短いコンセプトPVです。生き生きとした市民の躍動感あふれる映像を通じて打ち出される日南市の総合計画コンセプトは「創客創人」。歴史に立ち返ると、隣の強大な薩摩藩の脅威にいつもさらされていた小藩である飫肥藩が280年間も生き抜いたのは、家臣たちをしっかり育て続けたからでした。また、木造船の材料を提供する林業などで栄えたのも人材教育の賜物。地域の宝は人であり、千客万来のしくみを“創り出せる”人づくりこそ日南市のコンセプト、と﨑田市長は強調します。

「就任以来、キャッチフレーズに掲げている“日本一、企業と組みやすい自治体”というのは“予算が潤沢で仕事を多く発注できる自治体”の意味ではありません。“地域資源と企業のリソースを活用し事業を共創できる自治体”です」

自治体には珍しい「マーケティング専門官」が日南市にはいます。それが、田鹿倫基さん。彼は元リクルート社員で、県庁職員時代の﨑田市長が厚生労働省に出向していたときに、宮崎へのUターンを志向する若者の勉強会で知り合いました。「自分が市長に当選したら会社を辞めて日南に来てくれないか」という﨑田さんの誘いを田鹿さんは快諾。

自治体がコンサルタントからどれだけすばらしい計画書を持ち込まれても、それを実行できるプレーヤーがいなければ、その計画は絵に描いた餅です。田鹿さんらのチームはプランを策定し、かつ市民と協働するプレーヤーとして、民と官のノウハウと能力を合わせ生かし、さまざまな事業に取り組んでいます。

日南市役所 商工政策課 マーケティング専門官 田鹿倫基さん日南市役所 商工政策課 マーケティング専門官 田鹿倫基さん

企業との連携の最新事例を1つ、﨑田市長が紹介しました。あしたラボでもレポートした「アクティブワーキング@日南」。コワーキングスペースを活用して、空き時間はふだんの業務をしながら、地域の資源や魅力や課題を探り、日南市にとっても企業にとってもプラスになるビジネスモデルの創出を目指す5日間のオプショナルツアーです。花王、富士ゼロックス、富士通グループの社員が参加しました。

ふつうに仕事をしていれば、地域の魅力が見えてくる!? ──アクティブワーキング@日南(前編)

スピードと柔軟性なら日南市はどこにも負けない、と﨑田市長は胸を張ります。その強みに加え、“企業の言葉”を使えるマーケティング専門官が企業と行政を仲立ちするので「日本一、企業と組みやすい自治体」なのです。

農閑期にクラウドソーシングで世帯収入を確保

「自治体と企業が共に新たな価値をつくり上げ、企業のもつ顧客に対してモノやサービスを提供することで、双方にメリットが生まれます」。田鹿さんは、自治体と企業が組む意義についてそう語りました。

自治体が企業との連携を成功させれば、県外からの“外貨”を獲得でき、外需型従業員数が増えることで雇用創出にもつながります。田鹿さんは、これまで取り組んできた企業とのコラボレーション事例を紹介してくれました。

そのうちの1つが、地域に特化したクラウドファンディングサービス「FAAVO」を使った、事業の予算調達。日南市の特産品「飫肥杉」を材料とした小物を世界最大のギフトショーに出品し、世界中のバイヤーにアピールするための資金調達です。目標金額であった250万円を超える325万円を集め、成果の記者発表も行いました。メディアにも多く取り上げられることとなりました。

「FAAVO」での資金調達は多くのメディアに取り上げられた「FAAVO」での資金調達は多くのメディアに取り上げられた

クラウドソーシングのサービスを提供する企業との連携も行っています。組んだ相手は株式会社クラウドワークス。

パソコンとネット環境があれば、どこでも仕事を受注することができるクラウドワークは、農閑期の農家はもちろん子育て中の主婦などでも合間に仕事をすることができ、世帯収入を上げることが可能です。

クラウドソーシングは、まだまだ地方では耳慣れない言葉ですが、行政で広報し、セミナーを開催することで、発信力と信頼生が数段高まります。また、クラウドワークスと行政でフォローアップをしていくことで、市民の方が実施していく場合のハードルを下げています。

地域資源と企業リソースを掛け合わせ、日南市は地域課題の解決や雇用創出を図り、企業は人材育成や新規事業を開拓するWin-winの関係を目指します。目標は5年で700人の雇用創出、と田鹿さんは締めくくりました。

企業が進出しやすく、地域の仕事が魅力的に見えるアイデア

イベントでは、チームを組んで日南市の未来についてアイデアを出し合うダイアローグセッションも行われました。日南市の課題は人口減少。全国の自治体同様、人口減少が大きな難題で、毎年700人ペースで減少しています。対応策として、既存企業の雇用促進と、企業誘致やスタートアップ促進が必要です。求人増の業種が必ずしも若者の働きたいような仕事ではなく、なかなか採用につながらないミスマッチも悩ましいところ。

日南市﨑田市長

そんな課題を受けて、﨑田市長が会場の参加者にアイデアを出してほしいテーマは、「企業が日南市に進出しやすくなるためには?」「地域の仕事をもっと都会の人に魅力的に見せるには?」の2つ。

3分間の制限時間で、参加者は付箋紙に各自、フラッシュアイデアのキーワードを書き、会場前面の壁に貼り出しました。

「少しのアイデアも逃すまい」。付箋に書かれたアイデアはすべて、日南市の職員が記録にとっていた「少しのアイデアも逃すまい」。付箋に書かれたアイデアはすべて、日南市の職員が記録にとっていた

﨑田市長と田鹿さんが見て、これぞと思ったアイデアを8つピックアップ。選ばれたのは

(1)試住制度をつくってまず来てもらう
(2)地元企業の経営者をブランディング
(3)企業が日南市に来ると元気になる
(4)気候と物価、生活しやすさをアピール
(5)企業が持つ技術情報をウェブで公開
(6)地元企業をホールディングして人材を流動化
(7)インターンと奨学金による学ぶキャッシュバック
(8)時間的な贅沢感を醸し出してアピール

の8つです。このテーマごとにチームを組み、ディスカッションを通じて深掘りします。制限時間は30分。「2020年の日南市では何が起きているかを報道する」未来新聞の形式でキャッチーな見出しをつくり、チームリーダーが1分間で発表します。

積み重ねた失敗を活かすプラットフォーム

「いいアイデアが出たら市政の事業に採用します!」と﨑田市長。ダイアローグセッションは各チームごと大いに盛況でした。その結果、短時間ながら、最初の個人のひらめきから発展し、ひねりを効かせて練りこんだアイデアが生み出されました。

イベント参加者の様子

発表は、内容を新聞形式にまとめて見出しをつけるというスタイル。実際にチームから出た見出しとアイデアをいくつかご紹介します。

(1)すべての経営者にオモシロ肩書きを義務化
地元企業の経営者をカリスマ化し人材リクーティングを円滑に促進。一次産業従事者がMBAを取得するなど、オモシロ肩書きを武器にする。

(2)10 年で初の成功企業誕生 その背景には500社の失敗ノウハウ
挑戦に失敗はつきもの。失敗データをためておくデータベースを作成。失敗することがむしろまちの価値を上げていく。

(3)贅沢に働き、贅沢に暮らす日南時間を生きよう
日本一、人間らしく生きられるまち。仕事と人生が融合。家族と過ごす時間、自分が認められる時間が長い。だから自立した人が育っている。そんなまちで暮らそう、というコンセプト。

真剣な表情でメモをとる日南市﨑田市長真剣な表情でメモをとる﨑田市長

﨑田市長がベストアイデアに選んだのは「10 年で初の成功企業誕生 その背景には500社の失敗ノウハウ」。

「失敗を恐れず挑戦する自治体を標榜する日南市としては、積み重ねた失敗をデータベース化し、成功への道筋に活かすプラットフォームというアイデアに魅かれました」(﨑田市長)

前例や慣習にとらわれず、果敢に新しい政策を打ち出すには、開かれた市政による企業や市民との共創が欠かせません。若き首長が率いる日南市は、まさにその先端を行く自治体の1つ。次はどのようなアクションで地域に活力をもたらすのでしょうか。

参加者と共に地域の未来を考える、あしたのコミュニティーラボ×HAB-YU 首長イベント、今後の企画もどうぞお楽しみに。

﨑田市長(中央)を囲み、イベントのキーマンによる記念撮影。前列左から日南市マーケティング専門官の田鹿さん、日南市職員の高橋さん。後列左はイベントのモデレーター高嶋さん、「アクティブワーキング日南」の発案者、原田さん﨑田市長(中央)を囲み、イベントのキーマンによる記念撮影。前列左から日南市マーケティング専門官の田鹿さん、日南市職員の高橋さん。後列左はイベントのモデレーター高嶋さん、「アクティブワーキング日南」の発案者、原田さん


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