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シェアードワークプレイス「co-ba」に学ぶ、挑戦者をサポートする場のつくり方

2018年08月22日



シェアードワークプレイス「co-ba」に学ぶ、挑戦者をサポートする場のつくり方 | あしたのコミュニティーラボ
昨今の副業・兼業解禁の流れを受けて、社会人の生き方・働き方は多様化しつつある。フリーランス、起業家、そして会社員のなかにも自宅でも職場でもない「サードプレイス」を持ち、そこでの経験・人脈を生かしながら新しいサービス創出に挑むビジネスマンが増えてきている。そんなサードプレイスにおける新しい挑戦と学びを継続的にサポートしていくためのヒントになり得るのが、シェアードワークプレイス「co-ba」(コーバ)のコミュニティーづくりだ。
co-baを運営する株式会社ツクルバ co-ba shibuya コミュニティマネージャーの吉田めぐみさん、同社シェアードワークプレイス事業部co-baチーム事業部ネットワークマネージャーの阿部香里さん両名に、人を挑戦へと誘う場のつくり方について話を伺った。

2011年に開設された会員向けシェアードワークプレイス

JR渋谷駅新南口から徒歩5分。ここに、会員向けシェアードワークプレイス「co-ba shibuya」がある。ビルの5階部分は会員専用コワーキングオフィス。6階部分にはコワーキングオフィス兼イベントスペースであるシェア型ライブラリー「co-ba library」が開設される。起業家のほか、デザイナー、エンジニア、コピーライター、落語家、イラストレーター、グラフィックデザイナー、写真家、建築家、公認会計士、NPO関係者などがco-ba会員に登録し、さまざまなジャンルの人たちが交流を深めている。


co-ba shibuyaの営業時間は平日の10時から19時まで。イベントは19時以降に行われる

co-ba shibuyaのスタートは2011年のこと。同年4月、村上浩輝氏(同社代表取締役CEO)と中村真広氏(代表取締役CCO)がco-baプロジェクトを立ち上げ、同年8月にはその運営会社として株式会社ツクルバを創業した。その後、当時には珍しいクラウドファンディングで資金調達に成功し、12月、co-ba shibuyaがオープンしている。

2016年3月にツクルバへ入社し、現在はシェアードワークプレイス事業部に在籍しながら「co-ba shibuya 2代目コミュニティマネージャー」を務める吉田めぐみさんは、自らの肩書きについて「わりと属人的なところがあるので役割を定義するのはとても難しいけれど」と前置きしたうえで次のように話す。


株式会社ツクルバ シェアードワークプレイス事業部 コミュニティマネージャーの吉田めぐみさん

「その場に対してどういうことをやっていくのがいいのかベクトルを定めて、それに対応する方向性を自分で見出していくような仕事ですね。ツクルバ自体がベンチャーということもあって、co-ba shibuyaは“(ユーザーの)あらゆるチャレンジを応援したい”というコンセプトを持っています。起業家たちの心にささるようなエキスパートやパートナーに出会っていただき、そのためのしかけとして、定期イベントを企画・開催することも重要な仕事です」(吉田さん)

全国のco-baをつなぐイベント企画のしかけ

co-ba shibuyaの核となっているイベント開催。その内容は実にさまざまだ。

ほぼ毎月行っているのは、会員同士のネットワーキングを目的にし、ときに非会員が顔を出すこともあるという「交流会」。「新年会、お花見、さらには海の家をテーマにした交流会など、季節ごとにユニークな企画を立てています」(吉田さん)。その他にも、ユーザーの知見・スキルを高めるべく「co-ba school」と題した勉強会も催される。テーマは、ライティングの基礎を教えるワークショップ、落語家を招いた心をつかむ話し方講座、確定申告講座、グラフィックレコーディング講座……など多岐にわたる。

さらにもう1つ、イベント企画の目玉になるのが、全国に展開する「co-ba NETWORK」とのコラボ企画。オープンからもうすぐ7周年を迎えるco-ba shibuyaだが、2013年の「co-ba akasaka」オープンを皮切りに全国へフランチャイズ展開。「co-ba NETWORK」として全国に22拠点(渋谷を含めて23拠点)を広げている。

たとえば、2017年3月には「AMA Special!! 海士町特産のいわがき春香を食べナイト!!」と題した交流会を開催。同年5月に島根県隠岐島諸島の海士町に、役場が運営する「co-ba ama」オープンを控え、イベントでは海士町の移住者によるゲストトークなどが行われた。

「各地のco-baは、その土地のオーナーさんによって運営されていて、オーナーさん自身がコミュニティマネージャーを務めることもあります」

そう話すのは「co-ba NETWORK」の運営担当で、シェアードワークプレイス事業部co-baチームネットワークマネージャーの阿部香里さん。吉田さんと同じく2016年にツクルバに入社した阿部さんは「どこのco-baでも、コミュニティーをつくることを軸にしているのは変わらない」と話す。


株式会社ツクルバ シェアードワークプレイス事業部 ネットワークマネージャーの阿部香里さん

「私自身は開設のサポートはもとより、運営していくなかでそのコミュニティーをどうやって運営すればよいのか、進言・助言を行うような役目。創業から直営しているco-ba shibuyaはco-ba NETWORKにとってのヘッドクオーター(本部・司令部)の役割を果たしています」(阿部さん)

co-baで共有する6つのポリシー。大事なのは「ローカライズ」

新たなco-baを開設する際、阿部さんはネットワークマネージャーとして、各地のオーナー希望者と面談を重ねる。co-baの細かな運営方針は各地のオーナーに委ねるが、co-baに共通するポリシーは必ず共有するという。そのポリシーが次の6点だ。

①「チャレンジを応援する」マインドを共有していること
②運営者の属性にローカライズされていること
③デザインが地産地消であること
④ユーザーの相互乗り入れが可能であること
⑤民間主導型まちづくりの拠点になること
⑥co-ba NETWORKに能動的に参加すること

「なかでも大事にしているのが、ローカライズです。オーナーさんがなぜその土地にco-baを開きたいのか、背景にある理由は千差万別。渋谷でやっていることをそのまま別の土地でやろうとしても、実はその地域ではまったく望まれていなかったりする。だからその土地にco-baを開設する意味を問う、という意味でのローカライズはいつも念入りに協議しています」(阿部さん)

2017年8月にオープンした「co-ba miyazaki」(宮崎)は、宮崎県宮崎市の中心市街地に生まれたシェアードワークプレイスだ。普段は山師として活動する方がオーナーを務め、「山と街をつなぐ」をコンセプトに置いているという。「山師とデザイナーが話したら新しい山づくりができるようになる」「農家とエンジニアが出会ったら新しいサービスが生まれる」など、独自性を持ったローカライズを掛け合わせることで「これまで想像もつかなかった化学反応」が巻き起こるかもしれない。

ツクルバではコワーキング事業のほか、リノベーションや中古住宅に特化した流通プラットフォーム「cowcamo」(カウカモ)、スタートアップへのオフィス提供「HEYSHA」(ヘイシャ)、クリエイティブ集団によるデザインの実験場「tsukuruba studios」などの新規事業も多方面に展開している。これらのしくみによってツクルバは、co-baでの起業を足がかりにその後のユーザーの成長も後押しすることも使命としている。


co-ba libraryの様子。各々が持ち寄った書籍や製品のプロトタイプなどがこの場に集まっている

もとより起業を志していても、そこに何のしかけもなければ本業だけに専念し、コワーキングはただの「働く場所」に集約されてしまいがちに。「人同士、場同士を定期的につなぎ合わせていくことで、彼らを“次なる挑戦”へと誘う」——それが吉田さんや阿部さんらの役割だともいえるだろう。

「Beの肩書き」を持つ意味

「人の挑戦をサポートするという観点でいうと、もちろん環境を整えることも大事なのですが、co-baの土壌をうまく利用して、自分にとっても相手(パートナー)にとっても、それぞれの仕事・活動を良い方向に導ける——そう思ってもらうことが必須なんだと思います。特殊な能力・スキルを持った人たちが集まるツクルバという会社自体もそれは同じこと。他の人との能力を掛け合わせ、自分がやりたいことを意図しなかった領域まで拡げていけるという感覚があります」(阿部さん)

ツクルバ社員の名刺には裏面に「What I do wanna be」(私が何をしたいのか)との問いかけとともに、それぞれの社員がやりたい「Beの肩書き」が刷られている。吉田さんの場合はコミュニティーマネージャーという公式の肩書き以外に「ハンバーグのパン粉」(詳しくはこちらの記事を参照)と綴られている。「具材集めから、出会いの場の提供やきっかけづくり、チャレンジを後押しするしかけ、ブランディングまでを行いたい」と吉田さんは話す。

「自分の価値を改めて考えたうえでの答えでした。“本来の自分は何者なんだっけ? どういう自分で在りたいのだろうか”を問う文化が、ツクルバやco-baにはあるのだと思います。自分たちが挑戦者でなければ、挑戦者は集まってこないですから」(吉田さん)


「Beを宣言すると、仕事じゃないところにも派生していく」と吉田さんは語る

社会人の生き方・働き方が多様化しつつあるなか、co-baのようなサードプレイスを持ちたがる人はこれからもきっと増えていくだろう。その場所選びの際、人はそこにどんな価値を求めるのだろうか──。co-baでは、吉田さんや阿部さんら運営サイドがユーザーとともに挑戦し、ユーザーの“新しい挑戦への一歩を踏み出す機運”を生む出すサポートを行っていた。ただの「働く場所」に集約されない、人々の挑戦する心を育むコミュニティーがそこにはあった。


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